りせっとさん
「何故あなたは都合よく過去を忘れるのか」「そこにリセットボタンがあるからさ」-ジョージ・マロリー(仮)-
「おお、スタインメッツ!」
 つくりものじさんのところを見に行って

「俺を番号で呼ぶな!」

 という台詞を目の当たりにしたとき、そうだよなぁ、このひとも同世代なんだよなぁとしみじみおもって見ていました。
 つーかものじさん、カノン漫画で怪奇大作戦はわかんないよ(笑)

 どーも30-40代というのは、エッセンスの濃い人が多いようです。
 こんばんわ。なんとなく「カルト」の敷居がずいぶんさがっているんじゃないかと最近おもうりせっとさん(仮)です。

 あ。同世代の方にはいわずもがなですが、冒頭の台詞は「プリズナーNo.6」の名台詞ですね。

 パトリック・マッグーハンのような、シャープな面差しの人に私は大変弱いのですが、この人の頭の中にも英国人特有の諧謔と、わけのわからない飛躍があって、ああやっぱりモンティ・パイソンの国なんだなぁとしみじみおもいます。英国人っていかれてるよな!

 シャーロック・ホームズ物語の中で登場する、シャーロックの兄マイクロフトが創設メンバーであるディオゲネス・クラブ(わかりやすくいうと孤独を愛するのにクラブに集う変人の巣窟)であるとか、ああいう設定がト書きなしにさらりと描かれるだけでも、いかに変人が多いか想像がつくというものです。

 そもそも国民全てがなにかのマニアって感じの国だからなぁ。
 わりと言い過ぎでないところがすごいんですが。
 そんなわけで今日はマニアについて。
◆マニアック

 マイケル・センベロの歌ではありません。
 つか、覚えてる人いるのかよ!

 たとえば今の高校生とか大学生に言わせれば、ハヌマーンもマニアックだし、ウルトラセブンもそうかもしれないし、はてはサンダーバードだってそうかもしれませんが、このあたりは「世代の差」では埋めきれない認識の差があります。

 オタクという言葉もそうです。
 今、気軽に「俺オタクだよ」とみなさん口にのぼせますが、すくなくとも私の周囲でこの言葉がささやかれ始めたとき、オタクという単語は完全なる差別用語でした。
 わかりやすく変換すると、オタク=異常者に近いニュアンスです。
 いまは○○に詳しい人、という程度から更に転落し、単にアニメを見ている人や特撮を見ている人もそうよばれます。それは単にアニメファン、特撮ファンなんじゃねーの? と私あたりは思うのですが、同世代の方はどう感じてるんでしょうか。
 オタク=異常者、という極端な書き方をしましたが、これはたとえば大学教授のように、ほんとうにそことだけにしか興味を示さない、マニアックな心理と異常とも言える知識を表現しているだけで、本来の意味に近い「狂っている」というニュアンスはありません。
 私的な感覚としては

・ただ見ている人、好きな人=ファン
・対象について膨大な知識を有している=マニア
・さらにそのデータを分析することが可能な論理的思考能力を持っている=オタク

 というかんじなのですが、そのあたりの感じ方の差に、自称映画オタのひとがセルゲイ・エイゼンシュテインの名前を知らなかったり、SFオタだ、あるいは犯罪オタだ、あるいはアメリカのサブカルチャーオタだと自称するのに、ハインラインの「異星の客」をしらなかったりと、あ、すいません、私はあまりに長くて退屈なので途中で投げました、こういうことに疑問を感じたりするのです。

 私はオタではないですが、ややマニアの領域に足は突っ込んでいますので、その程度の知識は底をあらえば出てくるんですが、「私はオタである」と自称しながら、どっかでみたことのあることを引き写しているだけの人、どこらへんがオタなのかと小一時間語り合いたいところなのですよー。
 そういうひとがいかん、というわけではなく、私は本物のオタの人から、知らない知識を吸収することが好きでして、その知識によってころころ見解が変わるのを潔しとする、かなり無節操な人間です。なので、パチモンやバッタモンがはいってると「だまされたぁ」という怒りが先に出るんですよねー。

 そもそも騙されているあたりで私の駄目さ加減がわかろうというものですが。

※セルゲイ・エイゼンシュテイン

 ロシアの映画監督。「戦艦ポチョムキン」でモンタージュ手法を確立したとして、映像学科あたりでは必ず名前を挙げられるくらい必須の人物。俗に「オデッサの階段」という、撃たれた母親の手から乳母車が階段を落ちていく6分間のシーンは、映画史上もっとも有名な6分間と呼ばれたシーンで、ブライアン・デ・パルマ監督「アンタッチャブル」や、マイク水野監督「シベリア超特急(たぶん)3(か4)」、はてはアニメ「ハンドメイドメイ」にまで登場している。このシーンを知らなければ、映画マニアとしてはかなり恥ずかしい。どっちかというとそういうオマージュばっかりで映画を撮っているマイク水野は、映画関係者から見ると激しく恥ずかしいことも、うんちくの一つとして覚えておこう。なんの役にも立たないが
 同様に知らないと恥ずかしい有名なシーンとしては、シュールレアリズム映画として著名な「アンダルシアの犬」で、眼球を剃刀で切るシーンなどがある。見たことなくても名前くらいは覚えておいた方がいいかもしれない。



※異星の客

 火星人に育てられた地球人孤児が、「世界の全ての教会」とよばれる独自の宗教(今で言うならカルト)を開き、嬲り殺されるまでを書いたSF。前述の通り、私は途中で飽きた(笑) 今読めばおもしろいかもしれない。
 既存のモラルを破壊した教義の為に、ヒッピーの教典ともなった。
 フリーセックス、食人肯定など、今読めばかなり興味がわきそうなネタが多く、そのためにチャールズ・マンソンへ影響を与えたとも言われるが、マンソンは文盲であった為、現在この説は否定されている。
 マンソンはシャロン・テート事件で有名な殺人犯(と呼ぶにはなかなかむつかしいのだが。煽動者、教唆犯といったほうが正確)。テートは映画監督ロマン・ポランスキーの妻であり、この事件も映画マニアならば大抵知っているお話。
 ポランスキーはチャールズ・チャップリンと同様ロリータコンプレックスであり、13歳の少女に性行為を迫ったとしてアメリカでは懲役50年の刑を宣告され、現在はヨーロッパに逃亡、「戦場のピアニスト」でアカデミー賞を受けるも逮捕されることをおそれて入国していない。この映画が大好きなおねーちゃんたちにこの話をしてやると、心底いやがられるのでいいネタになります。
 マンソンはガンズ・アンドローゼスに曲を提供し、それを隠しトラックとして挿入したことが問題視されたこともあった。ようするにこの男、ロックスターになりたかっただけのヒッピーなのである。って全然ハインラインと関係ないな。



 なので、膨大な知識があり、かつ自分の視点で物を見、それを表現することが出来るこの方とかが好きなわけですよ。大事なのは知識を背景とした視点であるということです。

 一方で、オタを自称しないまったくの素人さんが書くブログがおもしろいことがあります。
 これは、ある一定水準の知識を詰め込んでしまうと必然的に行き着いてしまう物の見方に毒されていない為、きわめて独創的かつ新鮮な目線で物を見ている為、池波正太郎風に刮目してしまうことがあるためです。私が一番好きなのは、こういうサイトなんですよねー。

 で、枕で触れましたマニアの基準。

 たとえば今なら「ショートサーキット」を知っていればカルトといわれます。別にこの映画、カルトでもなんでもありません。ごく一般にロードショウ公開されていますし、それなりのヒットもして2も製作されました。
 しかしおなじロボットもので「キルボット」を知っていると言えばマニアでしょう。
 さらにこの映画にポール・バーテルが出ている、などと言い始めればオタクです。
 この映画が出た頃は監督ジュリー・コーマンと聞いていたのですが、いつのまにかジム・ウィノスキーになってる。クレジットどうなってたっけか。そういやコーマンじゃなかったきがするなぁ。

※ポール・バーテル

「デスレース2000年」を知っていればもう100点満点である。役者としてもジョー・ダンテの「ピラニア」などに登場し、結構いい演技をするあたり、同じ映画監督のフランク・オズと似た印象を受ける。オズはヨーダの中の人(中に入っているわけではない)。
フライパン殺人」で検索してみるとよくわかるが、オタの人たちにとても愛されている。
 なお「デスレース2000年」は、人をひき殺すと得点が上がるというブラックコメディで、ロッキーでブレイクする前のスタローンが破格のギャラで(つまり食い詰めていた)出演していることもあり、カルト化している。ロジャー・コーマンプロデュースというあたりで、既にいろいろ保証されているようなものである。人の命がもっとも安い映画。



※ロジャー・コーマン

 誰が呼んだかB級映画の帝王。はっきりいってこの名前を知らずに映画オタを自称したら、それは潜りという以前に莫迦である。
 才能はあるが金がない、そういう役者や監督を安く買いたたき発掘して低予算で映画を作り、当てる。日本の大蔵貢ととてもよく似ている気がするのは私だけではありますまい。
 コッポラやジョー・ダンテ、ジェームズ・キャメロン、ロン・ハワード、ジョナサン・デミ、先に挙げたスタローンやジャック・ニコルソン、ロバート・デニーロを世に出したのも彼だが、メジャーになった多くの人がコーマンと関わっていたことを隠したいと思う、そんなひどい映画しか送り出していない。いまだにコーマンと関わっていたことを喜んで語るのは、オタ監督ジョー・ダンテや、のんだくれでどうしようもないデニス・ホッパーくらいのものだろう。特にキャメロンは、コーマン時代の作品はフィルモグラフィから削除している。そのくらい酷い

 コーマン作品で唯一世間的評価を受けている「リトルショップ・オブ・ホラーズ」はたった二日で製作されたと言われているけれども、コーマンに言わせれば「こんな映画は大失敗か大成功してしかるべき。ちょっと売り上げが出た程度では喜べない」さすがである。私の尊敬するプロデューサーの一人。



※そのくらい酷い。

殺人魚フライングキラー」のこと。
 そもそもコーマンが「ジョーズ」のヒットに目を付け、魚が人を襲う映画を作れば売れるだろうとしてジョーダンテに撮らせたのが「ピラニア」。こちらは本家スピルバーグも、一連の類似作品では出色であると評価しているし、事実出来が良く、マニアの間でも絶賛されている。
 それじゃあこいつにとらせてみようとキャメロンに撮らせたのがフライングキラーなのだが、ダンテのような独創性もなく、映像的に見るべき物もなく、作品の構成がまるっきり「ジョーズ」の模倣であるだけでなく、随所に登場する痛いパロディのせいで、マニアの失笑を買うことになった。
 タイトルは全く違うが、「ピラニア」では魚を海に送り出すことで全滅させるラストでおわっており、しかし適応力の高いあの魚がはたしてそれで死滅しただろうか、という結びになっている。舞台は当然河川であり、奥深い山であり、主人公が容易に救いの手を求められない状況を巧みに生み出している。このあたりのアイデアが白眉なのだが、フライングキラーはどうもその魚の進化した物で、それも道理、実は作品自体ピラニアの続編とされているのであるが、トビウオというよりは羽の生えたトウゴロウイワシが本当に空を飛び回るので、魚であるという必然性も、海洋に潜む深淵の恐怖というモチーフもさっぱり生かされず、マカロニホラーであるルイジ・コッツィの「エイリアンドローム」のほうが遙かにマシである。

 何より痛いのが、作中「エイリアン」のパロディをやっていることで、後年「エイリアン2」を手がけている手前、この作品に触れたインタビュアーがキャメロンに殴られたというジョークが笑えないくらいに痛い作品。
 印象に残るのはそこと、ホテルの外につり下げられた大量の空飛ぶトウゴロウイワシ、水中セックスだけである。後年、幼稚なアイデアでもセックスを結びつければ売れるということに気がついたキャメロンは一躍ヒットメーカーになり、現在に至る。
 無論、私はこの作品もキャメロンも大好きである。「アビス」では泣いた。劇場に客は3人しかいなかったが
 ラストで小型のキーボードを与圧服のでかい手袋で操作し、通信するシーンがあるのだが、モニターしている人々の前に映し出される言葉の綴りが間違っているという、でかい手袋をして小さな物を操作しているというリアリズムの演出に、本気で感動したものである。だからフライングキラーを見ても笑ってはいけないよ。怒るのはいいが



 たとえばあれですよ。ガンダムオタとかいいながら、ガンダムが水爆を斬ったりフィルム被って大気圏に突入したことを知らないのでは話になりません。私はおもうのですが「リアルロボット」とかいわれているガンダム、ちがうとおもうんですよ。あくまで過渡期の作品だと思うんですが、同意してくれる人0なんだよなぁ。だってグフと殴り合うんだぜ。弾くらったって最終回まで壊れないし。
 なのでGガンは、いわゆるファーストの直系であると私は思っています。荒唐無稽なビジュアルに騙されますが、実は他のアナザーガンダムよりもしっかりと世界練り込んでますし。

 てなとこでそろそろ飽きた(というか体力が尽きた)のでさくっと結論書きますが、こういうサブカルチャー物が好きだからオタ、マニアな作品を知っている、ではないとおもうんですよ。ジャンルは何であれ、その中でも異色な作品と、一般にもよく知られている作品を丹念に見ている(ここ重要)ことがオタであり、カルト作品というのは単にマイナーなだけではなく、そこに語るべきもの、映像であれ脚本であれなんでもいいわけですが、そうしたものが存在しているかどうかってことなんじゃないかと。そういう意味ではハヌマーンはカルトかもしれません。

 ボディスナッチャーと夫婦愛を連結させた恐るべき映画「ヒドゥン」はカルトですが、単にマイナーでばっちいだけのボディスナッチャー映画「ボディ・チェンジャー」はカルトではないでしょう。
 そんなかんじで。
 基準は人それぞれですが、無論感じ方もそうですが、ちゃんとみてんのかなぁというものがおおいんだよなぁ。もっとも私も、昔ほど見てないのですが。
(だから同じ作品が並ぶ)

 そんなわけで、「あなたがおもうカルトな物」を某掲示板あたりで聞かせて頂きたいところです。
「基準は自分」ってことで!

 私はエロゲーの「ウルトラビクセン」をあげとこう。
 おっぱい監督ラス・メイヤーの映画ではありません。でもたぶん、タイトルのネタはこれだよなきっと(笑)
コメント
この記事へのコメント
闘病中だってのに
私にネタふりするのはやめてください(笑

変に反応しちゃったじゃないですか
のわりには、途中でなげちゃいましたけど
2006/05/12(金) 23:52:53 | URL | 全滅屋団衛門 #-[ 編集]
復活おめでとうございます
お元気になられて何よりです。いつも私の知らない世界をご教示頂いて勉強になります。
>これはたとえば大学教授のように、ほんとうにそことだけにしか興味を示さない
私も大学で教えています(文系・非常勤)。専門の分野について詳しいのは当然ですし、傍から見るとそんなことになぜ拘るのかという疑問をもたれることは結構あります。しかし、専門の分野にしか関心を持たない人というのは意外にいません。一般社会に出たことがないことが多くその意味で世間的な常識をわきまえていない点は否めませんが、文系の場合広く興味関心のベクトルをもったりします。知識に対する欲求の方向性がいわゆるオタクの方々とは違うのかなと思うこともあります。理系はわかりませんが。むしろ俗物ですよ、大学教員は。長々とつまらない話をすみません。
2006/05/13(土) 01:36:12 | URL | HAL #-[ 編集]
ふふふふ
 大丈夫。私もそうだから。

 ぜんぜん大丈夫じゃないって!

 いやぁほんとのところは、そちらの常連さんがたぶんなにか書き込みたくてうずうずしてるんじゃないか、そんなら投げっぱなしのネタでも放置で食いついていただけるんじゃないかという

 ひでぇことやってるな私(笑)

 じぶんでおもいましたが、習慣的にやっていることをやめてしまうとかなり体調に来るんですよね。2,3行でもかくとだんだん精神的に落ち着いてくるのでいいかも、とはおもったんですが(笑)

 のわりにはメシくうまえにおもいきりゲロってしまいましたが。だめじゃん。


 一応元気にはなっていないのですが(爆)、前述の通り、何かやれるときはやれることをやっておこう、ということがありまして、書いております。

 私の恩師たちというのは、確かに幅は広いんですが、そのベクトルというのがかなりナローでして、私大というせいもあったのかもしりませんが、鉱物マニアの教授とか、タルコフスキーマニアの哲学助教授とか、はてはウルトラマンなんかに寄稿するひととか、変わり者が多かったので世間はおそらくそうではないと思います(笑)
 あくまで一つの例ってコトデ。

 といいますか、ものを教える人がその分野のエキスパートであり、もちろん好きだからこそやっていらっしゃるんでしょうが、その割にはなんというか、もっとここは目の色を変えていいんじゃないかなぁということに鈍感な人もいるので、やきもきすることはあるんですよね。
 まぁうちの大学は、授業中に妖星ゴラスの話で文化語ったりするところだからなぁ(笑)

 思えば高校時代も授業中にスペクタクル大作なんかを見てるだけ、とかいう授業もあって、恵まれていたのかもしれません。

 ただ、世間から見ればオタクという言葉の定義が曖昧なせいで、こういうネットで無責任なことをいっている人間だろうが、鉱物フェチだろうが、五十歩百歩ではあるのかもしれませんが(^-^;;

 基本的に知識欲旺盛な人は、俗物たるべきだと私は思いますけどね。いろんな意味で。

 教職関係は興味はあったのですが、結局縁がなかった分野なので貴重なお話ありがとうございました。やっぱり人の話を聞くっていうのは楽しいですよ。
2006/05/13(土) 02:28:23 | URL | りせっとさん(仮) #-[ 編集]
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