りせっとさん
「何故あなたは都合よく過去を忘れるのか」「そこにリセットボタンがあるからさ」-ジョージ・マロリー(仮)-
(ヴィンセント)・ドーン・オブ・ザ・デッド
宮城の友人によると、物流もなんとか8割くらいは回復したそうで
通常の生活、とはいかないものの、余震さえなければぐっと楽になっているようです
こんなネタの枕にもってくる話じゃないですが(笑)、でも、やっぱりまだまだ「ないものはない」状態は続いてます。
震災症候群は、阪神のときも言われましたが、長期間にわたるストレス下、みなさんよくがんばっていると思います。






で、ネタ。


およそヴィンセント・ドーンほど、緊張感があるはずの名シーンを、一瞬で退屈な瞬間へと変貌させる才能に恵まれた監督というのを、私はほかに知らない
あのエド・ウッドですら、違った意味での(だいたい失笑だが)山場を作り上げる才能を持ち合わせているというのに
この、いくつもの変名を持っている男には、それすらもない
職人監督として必要な、作家性ゼロ、無節操なジャンル、早撮り、臆面のない盗作をすべて持ち合わせている稀有な男
もう一人は、ちょっとだけオリジナリティを発揮したらロケハンで事故死してしまったウィリアム・ガードラー
両者の差はたった一つ
オリジナリティゼロは共通していても

ガードラーはそれなりに映画を盛り上げることを知っていることだ

そんなわけで、ガードラーの作品は当時、それなりに売れた
しかし現在、つまらなさと題材選びの無節操さで(マニアの間にだけ)名を残しているのは、ヴィンセント・ドーンのほうである
人生とはわからないものだ。
どうせパクるなら、このくらい臆面もなくやってほしいものだと日本の映像作家にもぜひ、お願いしたい
まぁ

ドーンは勘弁してほしい気はするけど

ガードラーの映画はほんと楽しかったんだよまじで。

で、先日からドーンの作品をみているわけですが
だいたいこういう監督は、流行ものばかりをとらされるため、ゾンビ映画をしこたま撮っている
職人監督という意味でなら、同じイタリアにはフルチ爺さんがいるのだけれども
爺さんの映画は「めんたま串刺し」にはじまる、徹底したゴア描写という、あれだ、アルジェントていうところの「美少女いじめ」「極彩色のパノラマ」みたいな特徴があるけれど
ドーンにそんなものはない
しいていえば、出てくるゾンビがみんな顔に靴墨を塗った、シャーロック・ホームズの「まがった男」ですか? みたいなところくらいが特徴か
似ているといえば、ウンベルト・レンツィの「ゾンビドローム」メイクといえなくもないが、あちらはさすが食人監督、(監督が人を食うわけではない。人を食った映画ばかり撮る。両方の意味で)みせるべきはちゃんと心得ている
ドーンはどうかというと、まず、肝心のゾンビが出てきてもさっぱり怖くない
次に、人が襲われるのだけれども、さっぱり怖くない
そしてゾンビは撃ち殺されるのだけれども、なんの爽快感もない

百聞は一見にしかずといいますが
「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」での、記念すべきゾンビ初登場シーン

hol01.jpg
しむらうしろー

目を剥いたガングロの人にしか見えない。
なによりおかしいのが、ここは研究所なんですが、あるガスが漏れてしまったために状況視察に来ているシーン
所員がいないことを不審に思い、キョロキョロしていると「おおっこんなところに防護マスクが」とふんづける
その不自然な演技も、ドリフのコントみたいなノリなんですが

あれは笑いをとるためにやってるからいいんだよな

ていうか、足でマスク探ってるだろ明らかに
で、踏んづけて「おかしいなーどこだろう」と、不自然なほど全員がマスクに集中している
上のシーンになるわけです
出待ちのゾンビって私はじめて見ましたよ 何でしゃがんで隠れてんのさ
この後左の男が食われるわけですが
何故か襲われるとき自分でマスクをはぐ
不自然だろその動きは
のど笛っていうか、肩に噛み付くゾンビってのも珍しいですが
男はのけぞってうわーうわー 不自然だろ
少しは抵抗とかしろよ

hol02.jpg
そして右の人

立ち位置はドリフ的にチョーさん
この表情と左の人が食われるシーンを交互に映すという、戦艦ポチョムキンもびっくりの編集
編集そのものの狙いはよくわかるんですが
なんでみてるだけなのチョーさん
止めるとか逃げるとかリアクションあるだろ
不自然だろその動きは

そうなのだ
私は気づいてしまったのだ
ていうか大半の人が気づいてるだろうって話もあるのですが
ドーンの映画って不自然なんだよ
虚構の中にも、虚構の中で通用するリアリティというものはあるんですが
(ゾンビが出たら何故か狭い一軒家に逃げ込むとか)
この人の頭の中には、そういうリアリティを構築するだけの能力がまったくない
そのせいでさっぱりシーンに緊迫感がないのだ
やる気がないわけではないと思うんだけど
上のシーンも、べつにゴアシーンを別撮りしなきゃならん理由って、積極的に探してもないんですが
なぜかチョーさんのリアクションと、わざわざ別に撮っている
職人監督らしく、早撮りのための手法なんだとはおもいますが
わざわざモンタージュをつかっているのに、それが効果を生んでいない
いや、編集そのものにおかしいところはないんだけども
演技指導に常に大問題をかかえてるんですな
普通の人間なら、こういう場面に出くわせばこうするだろう、みたいな当然のリアクションを切り捨て、なんでそこでそうなる、と突っ込みを入れたくなるような行動をとるため

ものすごくシュールなシーンが出来上がる

つまんないんだけどなんだろうこれ、一種の才能?
上のシーンだと、まず、汚染物質が流出した場所で、血まみれのマスクが落ちていたとしたら

・なにが起こったのか不安になり、周囲の様子を伺う
・マスクを調べつつも「他に何か遺留品がないか探せ」と指示を出す
・ガスの性質がどんなものか知っている研究者なのだから、その場から逃げる

そんなとこでしょうか。
でも、マスクみてるんですよ。全員で
襲われるほうにしても、わざわざ自分のマスクをはぐほどの体力が残っているなら、肩噛まれたくらいでのけぞったまま叫んでるだけなんてことないですよね
右の人(実は責任者。なんかちょっとロディ・マクドウォール似。目元だけ)も、ほんと「みてるだけ」なんですよ。
みてるだけなのに、しれっと脱出して「われわれは取り返しのつかないことをしてしまった」とか、記録とってるし。
(その後襲われて死ぬ)
とにかく全編

そうはならないだろー

という不自然さ全開で
たぶんこの「どうしようもなさ」が、ドーンの映画のひとつの魅力ではないかと。
勝手に「ゾンビ」の楽曲を使用して「音楽:Goblin」と書くような臆面のなさも含めて。
中盤「頭をうつんだ」という、例のお約束がでてくるわけですが
とにかく頭を避けて撃つんだなこれがまた
狙ってるけどあたらない、とかでなく
それなら、うっている人間の心理状態や腕前がわかるってもんですよね。ほら、ヘリ坊やをさりげに押しのけてしとめるロジャーとかでおなじみのシーン
どうみても胴体を狙ってうってんですよ。それもたぶん倒す気で。
だからしなねえっつってんだろ。
きっと、こうやって突っ込みながら見る映画なんだろうな。
※そんなことはない。

ドーンの映画にはもうひとつ
イタリアの映画ですからね
おっぱいがでてきますが
とにかく抜けねぇんだ裸が

hol03.jpg
でも形は悪くない さすがイタリア娘

無理やり脱ぐシーンをいれてくるのは、娯楽作品だからいいとしても
もうちょっとこう、なあ?
まあ、ジャン・ローリンよりはぐっとましなんですが
※比べるものが悪い。

おっぱいスキーなんでしょうが、ラス・メイヤーでも観て、性根を入れ替えてほしいものです。もう亡くなってるけどね

で、最後に終末的なオチをもってくるのがこのころのゾンビ映画の流行で
「ゾンビ」では、主人公たちが後にしたショッピングセンターをゾンビたちが闊歩しているところで幕
「サンゲリア」は、金門橋でゲリラ撮影したといわれる、橋の上をゾンビが歩いているところでチョン
(なので下を普通に車が走っている、よく考えると変なシーンなんだけども、そうおもわせないとこがフルチの腕)
「ナイトメアシティ」では「悪夢は再び…」夢オチを逆手に取った斬新な……そうか?
などなど工夫を凝らしているのですが
「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」では
主人公たちの全滅を描いた後、街中のシーンになるわけですよ
まあ、みなまで言うなという感じだと思いますがこのシーン

hol04.jpg
しむらうしろー

このシーン、例によって目の前で恋人が喰われてるのにただ見てます
いや、だからさ(ry
これをまた交互に映すんですよ
編集がこんだけ効果を生んでない映画ってあまりみたことないですよね
「ショーン・オブ・ザ・デッド」でも似たようなシーンありましたが
あれはギャグでやってますからね
今度ドーンの映画をみるときは、そのあたり意識してみていただけると
つまらない映画でもネタくらいにはなるのではないかとおもいます。

アイデアはわるくないんだよなあ、この映画(笑)


売り切れておりますよ

まあ100人くらいには需要があるってことですよね

ドーンというと、ブルーノ・マッティという変名で、フルチ爺さんが倒れたので代わりに撮った「サンゲリア2」がへなちょこだったり、やっぱり才能のなさをあらわにした「食人族2」を撮ってみたり、あげく日本の特撮オタにはねた的に親しまれたけど、やってることはエイリアン2のパクリでしかなかった「ゾンビ2009」(しかも遺作)だったり
とにかくどうしようもない映画ばかり撮っている人で
それでもこんだけ撮っていれば、なにかひとつくらいは光るものがあるんじゃないか、とおもうんですが
ガラス玉ほどの輝きもないという体たらく
ジェス・フランコも似たような作風ですが、彼の場合は私生活が作品に影響したらしいですけど、ドーンはなんなんですかね。
この、なんちゅーか、中途半端な才能はあるけれど、まとめる力がまるでない、ってあたりに、すごく親近感があって、すきなのです。
コメント
この記事へのコメント
> 頭のアンテナがとんがって巨大になったり
おう、一峰大二がぼくらで描いていた漫画版ロボットモンスターですね。
って、んな訳ねーよ。

わざわざ、ネタにしていただいて有難うございました。勿論、この映画は存じておりましたが、りせっとさまのお陰でDVD化されているのを知りました。
すごく自分がちっぽけに思える日が来たら購入し、下には下がいると思う事にします。
2011/04/26(火) 23:09:32 | URL | Debu@Jun #-[ 編集]
そうそうそう、変にえらそうで頭のトサカがでっかくて

んなわけねえ

この手の映画好きな人には有名ですけど、知人は一般人がおおいので、ネタが通じないんですよねぇ(笑)
読み返すと、Debu@Junさんがご存じないような書き方ですね、すみません。「突っ込みを入れていただいた」ってつもりだったんですが(笑)少しは推敲するクセつけないとなあ。
DVD化はご存じなかったですか。
こんな映画を高画質で見て俺はいったい何をする気なんだと打ちひしがれること請け合いなので、700円をどぶに捨てるつもりで是非。
2011/04/27(水) 00:51:19 | URL | りせっとさん(仮) #-[ 編集]
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