りせっとさん
「何故あなたは都合よく過去を忘れるのか」「そこにリセットボタンがあるからさ」-ジョージ・マロリー(仮)-
テーマパーク
ちょっと今回のストパンは、私的にはイマイチだったなあ。
別にエイラの出番が少なかったからというわけではありませんよ?

stp10.jpg
違いますから。

まあ、オチはきれいにまとまってたのでいいかなと。
なんか、シスプリみてるような気分でした。



悪夢の典型的なものに「追いかけられる」てのがあります。
フロイト先生も、なんやかやいってますが、ようするに

とても怖いものの典型

てことでしょう。
そのため、ホラー映画のラストでは、特に芸もなく主人公は逃げまくり、ホッケーマスク被ったヤツやら、カーク艦長のマスクを被ったヤツやらにおいかけられるわけですが
その中でも、低予算ながら予想外のヒットを飛ばし、エイリアンのパロディやら水中セックスの映画を撮っていたZ級映画監督を、一躍世界の巨匠にした「ターミネーター」は、皆さんご記憶かと思います。
なにせ、暴力そのものを肉体化したようなシュワルツェネッガー演じるターミネーターは、どんな映画でも見事な腑抜けっぷりを発揮する、われらがマイケル・ビーンとの対比もあいまって、そのキャラ立ちは圧倒的でした。
いいよなあ。どんな映画でもなんつーか、生身の人間を感じさせるへたれっぷりは。勿論ほめ言葉ですよ。バズーカでふっ飛ばしても死なないようなヒーローはちょっとなあ。

ターミネーターというキャラクターが成功した最大の要因は、間違いなくあの肉体ですが、既存の権力機構を徹底的に無視した、あの暴力的表現も見逃せません。そのため、特に用がなくても、ターミネーターはしょっちゅう警察に殴り込みをかけることになるわけですが
それを可能にしたのは

マシンである

ということの説得力です。
宇宙人やモンスターであれば、どこか陳腐な物語でも、それがマシンである、ということになれば、未来からこようが研究所から脱走しようが「なんとなくありそうだ」という気がしませんか。テクノロジー崇拝の、これはよい側面だと私は思ってます。

さて、本題ですが。

とりあえず



テーマパークで人が死ぬ



この一発ネタでヒットメーカーの仲間入りをしたマイケル・クライトンの作品に「ウエスト・ワールド」がありますよね。
WIKIにもありますが、今まで彼を評価していた人間たちが、ちょっと自分たちの癪に障ることをいうと、手のひら返したように右だ右だと批判されているクライトンですが、彼のスタンスは、終始変わってないですよね。ファンはみなさんご存知かと思います。
むしろ、クライトンにはこれをネタにして欲しかったよなあと、私なんかはおもうんですが(笑)
まそれはさておき。

くだんの「ウエスト・ワールド」ですが、テーマパークものの走りであると同時に、生物パニックもののフォーマットである


利益優先の企業体質が被害を助長する


という基礎も盛り込まれてまして、別にこの作品がはしりというわけではないのですけれども、以後「ジョーズ」や「ピラニア」といった作品にも受け継がれていくテーマです。まあ、自分よりも金持ってるやつは悪者にしておきたいよね庶民的に。

そんなわけで、被害が拡大するまではかなり退屈な作品でして、どのくらい退屈かというと、友人のホームビデオを見せられるくらい退屈です。
それでもクライトンの非凡さは、小さなアクシデントを積み重ねていくことで、観客の不安感を丁寧にあおっているところにあります。
しかし、それだけではやはり、この映画は成功しなかったと断言できるんですが、その序盤の退屈な展開の中、観客の興味をつなぎとめるのは


ユル・ブリンナーの存在感


昭和世代の人は、フジカラーのCMでもご存知かもしれません。
私同様映画好きだった父は、そのポスターをもらってきて居間に張っていたのですが


犬が吠えまくって大変だった


犬にもわかる、この存在感です。

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この存在感

若い人にはただのハゲのオッサンにしか見えないと思いますが、このキャラクターは、ブリンナーの当たり役である「荒野の7人」クリスのパロディになっているのです。
このクリスというのは、まるで悪役のような風貌ですが、圧倒的なリーダーシップと早撃ちで、文字通り物語を引っ張る役どころ。以後、このタイプのダーティヒーローがわんさとあらわれ、皮肉にもマカロニ・ウエスタンの隆盛に一役買うことになるのですが




この物語は、西部開拓時代、中世ヨーロッパ、帝政ローマの世界を体験できるというテーマパークで、働いている人たちは、みんなロボット。アイデア的に言うと日光江戸村みたいな感じですが、ロボットなので、人件費が安いため利益が出るみたいですね。裏方の科学者の量を見ていると、大丈夫なのかと不安になりますが、余計なお世話です

相手はロボットなので、刺そうが撃とうが平気です。
作中はっきり描写されていませんが、女性客もいることから、夜のロマンス機能もあるんじゃないかと思います
そんなわけで、テーマパークの中のひとつ、ウエスト・ワールドでは、西部のガンマンを演じて決闘ごっこができるわけです。

観客はここで、敵のガンマンに出会うわけですが、なにせでてくるのがこの人です。
今風に描写するなら

「ちょ、クリスwwwwwww」

というところで、実はここに、映画の中と現実との接点を求めることができます。
観客の反応=劇中の反応ということで、物語への導入として、強力です。
ここに求められるのは、劇中の人物との一体感なので、ブリンナーの存在感ははずせないわけです。
スカイアクションのテーマパークで、敵にエイラがでてきたようなもんですよ。ええ。エイラは撃墜できませんけどね。

しかし、ここウエスト・ワールドでは、かの名ガンマンも人間には勝てない仕様ですので、「ちょクリス弱すぐるwwwwww」といった、厨房的な快感をもたらしてくれるわけです。
ま、行き着くところごっこあそびって、ここだよね。

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こっちは本物のクリス。

「荒野の7人」の冒頭シーン。右の人が私の、マックイーン。
改めてみるとこのシーン、クリスが狙撃された後にヴィン(マックィーン)が狙撃手を倒すんですが
それじゃ遅いだろ
しかし正義の香りがしないなあ。だからかっこよかったんですが。
たぶん、ハカイダーの原イメージだとおもうんだけどなあ。


ま、そんな感じで主人公たちは厨房的娯楽を満喫するのですが。
今日もまた、弱すぐるクリスとの決闘を楽しもうとした矢先、いきなりツレが本当に射殺されてしまいます。ヴェロキラプトルにガブリとやられた感じですね。
ここから物語は、クリスに追われる主人公中心に展開していきます。
ここでやはり、追いかけてくるのがブリンナーである点が重要です。
観客の頭には当然「荒野の7人のクリス」が刷り込まれており、リミッター解除となった今、あの壮絶な早撃ちを相手に逃げなきゃならないのか、という、立場の逆転をより強く印象付けます。
いかにも余裕、といった様子でゆったりと歩くクリスに対し、主人公は顔真っ赤にして逃げ出すことになるわけです。マンハンティングものの基本ですが、もともと冷静沈着な役どころであったクリスが、本物の無機質なロボットとなって追いかけてくる点に、恐怖があります。

「ジュラシックパーク」のヒットが、恐竜たちの迫力に圧倒的に依存していたように、この作品はブリンナーのそれに依存しているわけです。そのことから



恐竜たち=ブリンナー


という公式が導きだせますね。
もっと言うと、主人公たちが「超B級ホラー役者」ジェームズ・ブローリンとかの残念な配役ですから、ジェフ・ゴールドブラムが束になってかかっても、ブリンナーには勝てないってことですね。
このことから


ブランドル・フライ<ブリンナー


という公式も導き出せます。
書いてて思うけど、どこまでついてきてもらえてるんだろうなあ(笑)

まじめな話、「クリスを演じたブリンナー」という、一発ネタが映画を成功に導いたわけで、この点、シュワルツェネッガーじゃないターミネーターを想像していただくとわかると思いますが(後でいっぱい増えますが、あくまで「最初に彼だった」からこその成功で、その点勘違いしてはいけません)、これがナポレオン・ソロロバート・ヴォーンだと、むしろ日本じゃ二番目だの人みたいになるし、ヴィンでは人柄がよすぎてダメです。そもそもマックィーンはこんなオファーがきても受けないだろうけど。

ブリンナー演じるガンスリンガーによる、無機質で執拗な追跡というのが、ターミネーターに色濃く影を落としているのは間違いありません。というか、アイデアソースのひとつでしょう。
時々「役者ですべてが決まる」映画というのがありますが、この作品とターミネーターは、まさにそれにあたるとおもいます。作品のヒット要因というのはもろもろあるんですが、その魅力の決定打として、この役者をはずすと成立しない、って意味ですので、念のため。

傑作として、私らの世代は手放しでほめるんですけど、でもなあ



「荒野の7人」のクリスを知らないで見てもこの怖さは伝わらないと思うんだよね



ガンスリンガーのネタはこれです、と紹介する人は多いんですけど、なんでクリスでないといけないのか、を、これから見ようという若い世代に、ちゃんと説明してる人って、みないよなあ。だから懐古厨っていわれるんじゃないのか。
(まあ、自分のわからないものに対して脊髄反射でいってるんですけどね、あの連中は)
まそんなわけですので、これから古典として鑑賞して薀蓄たれよう、という人は、是非「荒野の7人」から見てください。それが正しい順番です。


なのでこれから

いまさら言うまでもないですが、クロサワのパクリ翻案です。
ブリンナーの企画による趣味的な映画で、もともと本人が主役ではなかったんですが、結果的にこの形に落ち着きました。そのため続編にも、ブリンナーは出演しています。3作目はななんと、ジョージ・ケネディがクリスを演じ、って無理ありすぎるだろ!(笑) 4作目は、マカロニ・ウエスタンきっての名優・リー・ヴァン・クリーフによって悪役らしい風貌に立ち返り、イメージとしては悪くないんだけれども、作品はとても残念なことになっているのは、西部劇のお約束か。
2作目も、かろうじて鑑賞に堪えうるレベルということで、基本的には「よくある続編」なのだけれども、実は脚本は、ラリー・コーエンなのです(笑)
デビュー間もないころに、これだけの大作を任されていることを考えると、やはり才能のある人なんでしょうが(ブリンナー本人も出てるし)記憶にある限りは、とりたてて書くことのない作品だったように思います(笑)
やっと手に入れたので、次の土曜あたりにでも鑑賞して見ようと思います。
いや、ほんとはそのおさらいのつもりでこの2本を見たんだけど、面白さに熱中してしまって(笑)
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